早いもので今年ももう7月になります。お寺とかかわりがあるこの時期の行事といえば、お盆でしょう。東京では他の地域とは違い、ひと月早くお盆を営むので、特に「東京盆」と呼ぶこともあります。
さて、このお盆ですが、正式には「盂蘭盆会(うらぼんえ)」といいます。この言葉はインドの昔の言葉の「ウランバナ」(「逆さ釣りの苦しみ」という意味)を語源としています。
しかしどうして、「苦しみ」がご先祖様の供養の行事となったのでしょうか。
お釈迦様のお弟子の一人・目蓮尊者が悟りの境地に達したとき、亡き父と母がどこにおられるかとその神通力でお探しになられたそうです。
すると父は極楽にて雲に包まれニコニコと楽しそうに暮らしています。ところが母はどこにも見当たりません。
おや、と思われた目連尊者はあらゆる所をお探しになり、ついに母を見つけられました。なんとそこは、「餓鬼道」の世界でした。
飲もうとする水は火に変わり、食べようとしたものにはトゲが生えるというように、餓鬼道ではどんなに飢えても食べ物を口にできず、また死ぬこともできません。
目蓮尊者はお釈迦様に相談しました。するとお釈迦様はおっしゃいました。
「毎年7月15日は100日の修行を終え、伝教におもむく日であるから、その時にお母さんの供養をしなさい。」
目蓮尊者がお釈迦様に言われたとおりに母親の供養をしたところ、次に母親の様子を見た時には極楽におり、父のとなりでニコニコとしていたということです。
この目蓮尊者にならい、ご先祖を供養するようになったのが、お盆の始まりでした。
22世住職 光史